専門の先生に聞きました
農家さんのお話
再生水とサンゴ礁


みなさんこんにちは!
京都大学大学院修士1年の三輪です(^^)/
私は現在、環境にまつわる消費者行動の研究をしており、実践の場でより深く研究をするために、 沖縄県の農業土木コンサルタントでインターンシップ生として活動しています。
今日は、再生水に関する疑問を解決するために、さまざまな専門家の方たちにお話しを伺おうと思います。
まずは、再生水プラントを糸満市と共同で作っている「京都大学 田中宏明先生と山下尚之先生」にお話しを伺いたいと思います。


こんにちは!
始めに、先生がなぜ再生水に取り組んでいるのか教えてください。

そうですね。みわさんは、地球上で人間が使える水って地球全体の水の何パーセントくらいか知ってる?

ん~~。10パーセントくらいかな??

実はたったの、0.002パーセントなんだよ。驚きでしょ?
私たちは水を無限にある資源と思っているかもしれないけど、水は本来は、ごく限られた資源なんだ。だからこそ、今まで当たり前だった「一度使った水を捨てる」という動きを、 「私たちが使った水は私たちで再び使える水に変える取り組み」が、将来のためにも非常に大事だと思っているんだ。
早速再生水のプラントを見に行こうか。


予想以上にキレイな作りになっているんですね!

衛生面には細心の注意を払っているよ。機械化されているから、人為的な事故が少ないんだ。
これをみてごらん。処理ごとに水が浄化されていく様子がよくわかるでしょう。このようにして、最新の技術を使って再生水は作られるんだ。次に、プラントの各処理過程をみていこうか。
まずUF膜という膜で…
~話が長い&難しいので以下中略~
(この過程を詳しく知りたい方はこちら⇒再生水とは へ)
この2工程を経て、再生水ができるんだよ。

見た目だけだと、再生水は水道水と変わらないくらいキレイなのですが、具体的に再生水と水道水の違うところはどこなのでしょうか。

水質に関していえば、「再生水の方が水道水よりも、植物にとって必要不可欠なチッソ、リン、カリウムといった栄養素が多く含まれていること」くらいかな。この再生水ははじめから農業に使用する事を目的として作られているから、あえてこの栄養素を残すように水処理を行っているんだ。

再生水には、そういった栄養素は含まれるのに、有害物質などは含まれないのですか?

人体や環境に影響する有害物質は、再生水を作る前の、下水処理の段階でほとんどが分解、除去されているんだ。チッソ、リン、カリウム以外の化学物質は水道水の基準以下のものとなっているよ。

でもやはり、体に悪いものが含まれているのではないかという不安があります…

そもそも下水処理場の水というのは、私たちが日々の生活で使った水道水が集まったもので、そこに含まれる化学物質といえば、 消費者が家庭で使用する物品に含まれているものだよ?そういったものに使われる化学物質も、健康に害がないように国が定めた基準で作られているんだ。 さらに私たち消費者はそれらを全て排水に流すわけではなくて、様々な用途で使い終わった後に流すよね。いくら下水処理水の化学物質の濃度が高いといっても、健康に問題をきたすレベルではないよ。

確かに、言われてみるとそうですね。少し安心できました! では、再生水は水道水と同じように、飲むことができるんですか?

さっきも言ったように、この糸満市再生水プラントは、農業用に作られていて、チッソ、リン、カリウムが多く含まれているから、 飲むことはできないんだ。これらの物質は人間にとっても必須元素だから、有害物質ではないのだけどね。

ではなぜ飲めないのですか?

塩をイメージしてみて。適量の塩分は健康にとって必要だけど、塩分を摂りすぎたら体を悪くするよね。それと一緒で、チッソ、リン、カリウムも摂りすぎたら体に良くないからだよ。

なるほど~~

再生水最先端のアメリカ、カリフォルニア州では約40年以上前から野菜に再生水を利用しているけれど、 これまでに化学物質の蓄積による健康被害などの問題は起きていない。むしろ、私たちが本当に気を付けなければならないのは、 化学物質ではなく感染症などを引き起こす、大腸菌やウイルスの方なんだ。再生水の大腸菌基準は水道水と同じく不検出であること。 それに関しては雨水や、地区内の湧水よりも安全だし、消費者の人にはそういったことを正しく理解してほしいと思っているよ。 みわさん、頑張ってね!

はい!今日はどうもありがとうございました!(めっちゃプレッシャーだ…。)



実際に水を使う農家さんにお話を伺ってきました。


こんにちはー。広い畑ですね!どんな作物をどこで栽培していらっしゃるんですか。

糸満市北部北波平の地域でハーブを栽培して那覇市や全国に出荷しているよ。沖縄県産の野菜は、観光客や内地からの移住者の増加によって需要が高まっているんだ。

そうなんですか!これからどんどん農地面積も増えていきそうですね。ところで、糸満市北部地域では農業用水が不足しているということをお聞きしたのですが、実際はどうなんでしょうか。沖縄県は結構、雨が降るように感じるのですが。

おっしゃる通り、このあたりは農業用水の確保に長年苦しんでいる地域なんだ。降水量はあるけれど灌がい整備が整っておらず、安定的に水を手に入れることが難しいんだ。現在は、降った雨水を貯めて農地に撒いているが、雨がしばらく降らずに水を確保できないと、ひどいときには作物を全て枯らすことになってしまうんだよ。

沖縄南部に地下ダムができ農業用水が確保できるようになったと聞いたことがあるのですが、それでも足りないのでしょうか。

この糸満市北部の地域は、地下ダムの水も農地に引っ張っておらず、利用することができないんだ。この地域は、広い農地もあって消費地である那覇からも近い。もし水がもっとあればここは農業に最適な土地と言えるのにね。

そうだったんですか。そこで新たな水資源として、「再生水」を利用したいのですね! ですが、再生水を実際に使用して、野菜に悪影響は起きないのですか?

悪影響どころか、再生水で育てた野菜の方が、水道水で育てた野菜よりも生育がよいし、 安全だと言われているんだ。再生水には、農作物にとって必要不可欠な、チッソやリン、カリウムなどの栄養素が含まれているから、 作物の生育を高めてくれる。さらに、雨水や地下ダムと違って、水源の水質がきちんと管理されているから、農薬や肥料の効きも大変良いんだ。 そういった実証試験も実際に行われているよ。 (詳しく知りたい方はこちら⇒ メリット)

再生水は糸満北部の農家にとって救世主のように聞こえますね!

ええ。再生水は、いま農業を営む人たちだけのためものではないんだよ。僕はこれから新しく農業を始める若い人たちのためにも、この地域で、安心で快適な農業ができるように、再生水をできるだけ早く導入したいと考えているんだ。

確かに、おっしゃる通りですね。いくら土地があっても水がなければ農業は出来ないし、少しでも若い人達に農業をしてもらうためには、より快適な環境が必要ですもんね。真境名さんのお言葉にすごく感動しました!貴重なお時間をありがとうございました。

 
 


さらに、再生水の利用が沖縄のサンゴや海の生きもの達にもいい影響を与えるということで、沖縄県サンゴ礁保全推進協議会会長で、琉球大学熱帯生物圏研究センターの「中野義勝先生」にお会いしてきました。


こんにちは。すごく立派な施設ですね!

遠い所からわざわざどうも、宜しくお願いします。

今日はよろしくお願いします!
では早速。どうして再生水の利用がサンゴに良い影響を与えるのでしょうか。

実際には、再生水の利用というよりは、下水処理水をそのまま海に流さないことがサンゴに良い影響を与えるんです。

というと?

ご存知かもしれないけれど、下水処理水には、プランクトンのえさとなる多くの有機物や栄養素が含まれているから、海中ではプランクトンが大量に発生します。この状態を「富栄養化」と言うんですよ。
富栄養化すると、サンゴの敵となる海藻類やオニヒトデが増えるため、サンゴ礁が死んでしまう。要するに、サンゴは「富栄養化」した海洋では生きづらいということですね。 つまり、下水処理水を海に流さずに、それを浄化して農業に利用すれば、海の富栄養化を防ぐことができるから、サンゴやそこに住む海の生きものたちを守ることにつながる、ということです。

サンゴを守る!と聞くと、「サンゴの植え付け」をイメージするのですが…

サンゴの植え付けも、サンゴの数を増やすのにはいいかもしれません。 けれど、そもそもなぜサンゴ礁が減っているかを考えたことはありますか?

ん~~~

理由は一つではないけれども、ひとつは「サンゴが生息する海の環境が悪いから」です。植え付けは一時的にサンゴの数を増やす事はできるかもしれませんが、サンゴが住みやすい環境を作るわけではありません。
下水処理水を再生水に利用すれば、問題の根本にある、「海の富栄養化」を防ぎ、抜本的にサンゴを守ることができると私は考えています。

そう考えると、再生水の利用は、沖縄の大きな観光資源となっているサンゴを救うことができる、大変良い取り組みなんですね!!

はい。私はそう考えています。実際に、有名な観光地であるアメリカハワイのオアフ島でも、下水処理水を再生水として利用したことで、海環境が改善されて、サンゴ礁が復活したという事例があります。

おお~。実際に海外ではもうこの取り組みが進められているのですね!

ええ。この水循環の取り組み自体、高い技術力として評価できるのですが、私はこの取り組みはさらに、 環境保全への高い意識として観光産業に大きなプラスイメージを与える取り組みだと思っています。 実際にいま世界的には、環境意識の高さが、地域のブランド化やイメージ向上に貢献しているんですよ。

すごい!再生水の取り組みが、サンゴや海の生きものを守ることにも、沖縄の観光産業を推進することにもつながるんですね!!

観光客が年々増加している沖縄で、ぜひこの取り組みをアピールして、環境×観光県として多くの人にサンゴ礁のすばらしさ、そこから発展して、かけがえのない自然の大切さを知って頂きたいですね。

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