再生水はなぜ必要?
再生水はどんな水?
再生水はこうして作られる
再生水の歴史
世界での取り組み
再生水最前線
再生水が沖縄を救う



●再生水はなぜ必要?
沖縄本島南部の農家は慢性的な水不足に困っています。大きな川やダムもなく、 農業に安定的に使える水がありません。その一方で、家庭から出される生活排水は、 浄化センターで処理された後、毎日大量に海へ放流されています。 この水をキレイにして もう一度農業に使うことはできないだろうか?再生水への取り組みは、そうした考えと、 長年にわたる研究や技術から生まれました。 しかし、いったん使った水を、低コストで キレイにすることができるのか、安全性は大丈夫なのか、いくつかの疑問も出されました。 こうした課題を乗り越えて、沖縄の再生水プロジェクトが始まりました。
   

●再生水はどんな水?
再生水は、生活排水そのものではありません。生活排水は、浄化センターである程度キレイに されてから海へ放流されています。 再生水は、この水をさらに特殊な膜でろ過し、ウイルス等を 紫外線で殺菌した、県内を流れる川や湧水よりもキレイな水質で農業用として問題がない水です。 処理水に含まれる有害物質は取り除かれ、大腸菌などは水道水と同じレベルまで減らすことができるのです。 水質について詳しく知りたい方はこちら→

さらに、再生水は、Global-GAP(G-GAP)で認められた基準の水です。GAPとは、安全で品質の良い食品だけが取得できる認証であり、 ロンドンオリンピックではGAP認証野菜でないと提供できないという決まりがある程、厳しい基準です。 糸満市の再生水はこのGAPの中でも最も厳しい世界基準であるG-GAPの基準を満たしています。

再生水最先端のアメリカでは約40年以上前から、再生水が農業に利用されています。アメリカのカリフォルニア州では、 レタスやイチゴといった生で食べる食物の栽培にも使われており、健康被害も起こっていません。 再生水の処理技術は年々進歩し、技術的には、 飲料用水として利用可能なレベルまで水を浄化することもできます。実際に水の少ないシンガポールでは飲料用水として 利用されています。このように現在の再生水技術は、高い費用をかければ飲料水が作れるほど進歩していますが、糸満市 ではこの水を農業用として利用するので、そこまでキレイにする必要がなく飲料用の基準に合わせて作られてはいるわけ ではありません。 糸満市では、京都大学流域圏総合管理研究室や国土交通省の指導を受けて、安全で低コストな再生水の 農業等への利用をすすめています。


●再生水はこうして作られる
糸満市の再生水プラントは糸満市浄化センターのすぐ横にあります。そこでは1日約1万トンの水が作られる予定です。
   

再生水処理には、(1)UF膜ろ過と(2)紫外線消毒 という大きく2つの技術が利用されます。

   

(1) UF膜ろ過
UF膜ろ過とは、膜で小さな濁りやバクテリアなどを取り除く処理のことです。分子量で千から数十万の高分子物質やコロイド状物質を取り除き、 それより小さい低分子物質やイオン類(1.0mmの100000分の1、0.01μm以下の物質)だけを透過させる"分子ふるい"を行います。 これによって、下水処理だけでは取り除けない大腸菌や小さな濁りなどを除去します。 その一方で、農業用水として有益な窒素、リン、カリなどは除去せずに、再生水に残すことができます。
   

(2) 紫外線消毒
紫外線消毒とは、UF膜ろ過の過程で取り除ききれなかった有害なウイルスを紫外線で殺菌する処理のことです。 紫外線は微生物の細胞を破壊するのと同時に、DNAの塩基配列に直接作用するため、それらの増殖能力や感染能力を失わせることができます。
   


UF膜ろ過と紫外線消毒が施された水は、最終的にパイプを通り、水を必要とする農家さんのところまで運ばれます。



●世界での取り組み
水が潤沢にある日本では普段意識することは少ないですが、水の少ないアフリカや中東アジアでは、水不足は生活に直結する大きな問題です。 水の重要性が高まる中、現在は世界中で再生水利用が進んでいます。アメリカでは飲料水や農業用水として、オーストラリアでは渇水対策用の水として等、 世界各地さまざまな用途で実際に利用されています。また、シンガポールや人工衛星内では、再生水をさらに浄化して"飲み水"として利用しています。

世界各国で利用されている再生水(下図)
   


●日本国内での取り組み
再生水は海外だけでなく、日本国内でも利用されています。熊本県熊本市や香川県多渡津町では水田用水として利用され、 愛知県豊橋市でも実験的にトマトの栽培用に利用されています。

●再生水「最前線」
再生水最先端のアメリカでは1970年代から、再生水の農業利用が始まりました。 それを指導したのは、なんと日本人で、世界の再生水第一人者である「浅野孝先生」です。
   

糸満市再生水プロジェクトは、浅野先生や日本の再生水界のトップである京都大学・田中宏明先生に多くのご助言を頂き、実施されています。



●沖縄の農業を救う
沖縄本島南部は慢性的に農業に使う水が不足しています。そこで再生水を農業に使えば、本島南部の農家が安定的に水を利用でき、安定した量の野菜をつくることができるようになります。 さらに、沖縄における野菜の地産地消がすすみます。また、再生水には、農業に必要なチッソやリン、カリなどの栄養素が含まれているため、農家は畑にまく化学肥料を減らすことができるのです。

●沖縄のしぜん、海を救う
私たちは沖縄北部の水を引き、生活用水として利用しています。そのため、川や森にすむ生き物たちに少なからず影響を与えています。 また海には豊かなサンゴや海の生きものが多くみられますが、処理水をそのまま海に流すと、海が富栄養化し、彼らにも被害をもたら します。 処理水を再生水として利用すれば沖縄の様々な生き物たちを守ることができます。

   


●沖縄のくらしを救う
沖縄県は、地形が急で雨がすぐさま海へ流れるため、水供給が限られている地域です。 一方で、沖縄県民一人当たりの水消費量は全国トップです(県内に来る観光客の使用量も含む)。 年々観光客も増加しており、県は2030年には深刻な水不足が生じるという予測をしています。 再生水を利用すれば、ダムから利用する水を減らし、将来需要が高まる必要な生活水を確保することが出来るため 将来のわたしたちの暮らしを守ることが期待されています。


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